感謝祭の朝。
アメリカ生活も17年にして、
何度と感謝祭ディナーにお呼ばれしたことはあったが、
アタシ、この国に永住しようと決めたけど、
家族を築くってことをしてこなかったな。
感謝祭ってファミリーホリデーだからね。
そんなんで、去年から妊活に励んで来たけれど、
今年もまた、ジョンさんと2人で、
感謝祭を自分らなりに過ごします。
どんな感謝祭になるかは、後日 報告するね。
さて、異国で暮らす移民のアタシ。
感謝祭は、毎年、11月の第4木曜日と決まってるんだけど、
その前の火曜日は、とてつもなくメランコリー。
(メランコリーって、ただ この単語使ってみたかった。)
まぁ、ようは、なんだか憂鬱で、
めっちゃ哀しい気分。
悲しいじゃないのよ。
あえての哀しい。
前回の裏切られた火曜日の記事でもわかるように、
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裏切られた火曜日。(金で幸せは買える?)
頭が混乱して、全くもってまとまらない。 ブログのネタもゴロゴロあるのに、 早くアップしないと、お蔵行きになっちゃうネタや記事、どん ...
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お金のことで悩んでたよね。
お金がなくちゃ不妊治療も出来ない!
夢も叶えられない、
マジックキングダムにも行けないって、
凹んでいた こりんごですけれど、
あぁ、なんてちっぽけで、
自分がどれだけ平和で幸せであるかを、
思い知らされることになる。
覚えてる、先月末に、ロンドン郊外で起きたベトナム人39人の遺体がトラックのコンテナから発見された事件。
不法移民の密入国失敗の事件だったらしいけど、
あれから1ヶ月後、犠牲者の一人、26歳の女性が、最後に家族に送った携帯メッセージが公開されていた。
「お母さん、ごめんなさい。
私の渡航は失敗です。
お父さん、お母さん、心から愛している。
息ができなくて死にそう」
(NHKニュースより)
こんなメッセージを娘から受け取ったら、と思うと、
子供のいないアタシですが、もう、言葉にならない。
異国で、こんな形で・・・
犠牲者も家族も無念過ぎる。
ベトナムの貧しい農村地域の若者たちが、家族の家計のために海外に密入国で出稼ぎに出ている現状。
違法と知りながら、
家族のために、そうしなければならない現状。
アタシがニューヨークに来たのは、自分の意思で、
ニューヨークに出稼ぎに来る必要もなく、
(いや、なんなら、日本にいた時の方が稼ぎは良かった。)
日本の家族のためじゃない、
自分のためだった。
違法を犯して、命までかけて、
国の家族のために出稼ぎに出る人たちとは、
状況も、腹のすわり方も違う。
ディズニーワールドに行けないと嘆いていた自分は、どれだけ恵まれていたことか、
人生は平等じゃないと不満を漏らしたりすることもあったが、
本当に、人生は平等じゃないんだと。
自分の意思で生きていられるってことが、
どれほどまでに幸せなことだったか!
ニューヨークにも、たくさんの移民がいて、
また、たくさんの不法移民もいて、
それぞれの想いを抱えて生きている。
アタシも異国で暮らす移民だけに、
衝撃なニュースだったよね。
そんな哀しいニュースを見た夜。
こりんごのFavorite タップインストラクターのショーがあったので見に行ってきた!
タップダンスって、他のダンスに比べると、なかなか直ぐには上達しないのよ。
しかも、習ったステップを使って、どこかに踊りに行けるパーティーもないし、
よっぽどプロフェッショナルにならない限り、ステージに立って人前で披露するチャンスもない。
ようは、タップを習うモチベーションがなくて、
昔、ちょっとタップをかじっても、続かなかった。
そんなアタシが、今でもタップが続けられるのは、このインストラクターと出会ったから!
彼は、ブラジル出身のプロタップダンサー、
パフォーマー、コリオグラファーとしても、一流なのはもちろんなんだけれど、
めちゃくちゃ、教えるのが上手なのであるっ!
難しいタップを、分かりやすく、基本とテクニックと、
そしてダンスを楽しむことを忘れない!
本当に、彼のレッスンは楽しくて、
もうかれこれ、彼のレッスンを、あちこちのスクールでストーカーのように取り続けて2年になる。
性格も明るくて、Funnyで、ラブリーなので、
こりんごのような Felipe 信者は沢山いる。
タップを習っている人で、ニューヨークに来ることがあるならば、
彼のレッスンを絶対にお勧めする。(アタシ彼の信者だし。)
そんな彼のショーが、火曜日の夜
イーストビレッジにあるイタリアンレストランで行われたのだが、
やっぱり、タップダンスの年齢層は50代60代が多くて、
もちろん若い世代もタップやってる人は多いけど、
レストランでのショーを見に来る年齢層は格段にあがる。
チケット代だけ払って、彼のタップパフォーマンスだけ見て帰りたいのに、
レストランでのショーだから、
チケット代の他に、ミニマム20ドルの飲食代を払わなくては いけないのだ!
アタシは、ショーを一人で見に来たから、
チケット代より高い食事を一人でしたくないし、
お酒も飲めない。
「ご注文はお決まりですか?」
とウエイターが、急かす。
「まだです。」
なんか、パフォーマンスは見たいけど、
パフォーマーの力を借りて、商売便乗しているレストランが気に入らない。
だいたい、一般の人が食事だけ取れるストリート沿いのスペースには、殆ど客はいないが、
奥のパフォーマンスが見れる有料のイベントスペースのテーブルは満席だった。
アッパーイースト、アッパーウエストサイドのお金持ちエリアに住む裕福な50、60代のタップを嗜む彼の生徒たちは、
ワインやカクテルを傾け、食事をしながら、
優雅にパフォーマンス鑑賞をするのだ。
ブルックリンに住む40代のしがないデンタルアシスタントには、ワイン飲んで食事する余裕などなかった。
グラスワイン15ドル
アントレ30ドル
マンハッタンのレストランなら相場な額だろうが、
一人で食事って、心と懐に良くない。
同じクラスを取っている オバ様たち、
(こりんごも日本人では立派な オバさんだけどね。)
彼女らも、Felipe信者で、
カワイイFelipeに黄色い声援を上げていた。
オバ様たちは、Felipe の性格や外見、タップダンサーのカッコよさからメロメロであるのだか、
多分、彼はGAYである。
いや、ゲイだからと言って、何か問題があるわけではなくて、
逆にゲイだからこそ、アーティスティックな魅力がある。
ダンサー、パフォーマー、アーティストの90%はゲイであろう。
そのくらい、ゲイは繊細でアーティスティックなのである。
オバ様グループが、
「こりんご、一人なら、こっちのグループに入りなさいよ。」
と声をかけてくれたが、
いや、一人で見てた方が気が楽だし、
こりんごの席からの方がパフォーマンス見やすいし、
マダムグループで、ワインやカクテル一人だけオーダーしないのも罰が悪い。
あぁ、お金のことでギスギスするのイヤだな。
器、小せぇな。
室内のライトが落ちてムーディーになって来た。
そろそろショーが始まる。
するとウエイターがまたやって来て、
「ご注文決まりましたか?」
と、また催促して来た。
「お腹すいてないので・・・。」
「では、ワインはいかがですか?」
「お酒飲めないんです。」
「じゃあデザートは?」
「あまり食べたい気分じゃないです。」
「でもミニマム20ドルですから注文してもらわないと困ります。」
はぁ、ビジネスだもんね。
強制注文に答えねば。
「では、ディカフェのティー ありますか?」
「はい、ジンジャーティーがあります!」
「それはカフェインフリーですよね。」
「はいジンジャーティーです。」
だから、カフェイン入りかどうか聞いてるんですけど!
まぁ、ジンジャーティーって、カフェインフリーよね?
はい、このお湯とティーバックで7ドル!
タックスとチップ入れたら、10ドル弱です。
あぁ、NYC、何するにも金がかかるなぁ。
まぁ、こりんごも、NYCに住むには、
しょぼいし、セコイけどね。
いつか、10ドルの お紅茶を躊躇なくたしなむ日は来るのかな?
さぁ、ショーが始まるよ。
ショーは、That's Gay!といい意味で言われるほど、
センシティブで素晴らしいショーだった。
あまりにアーティスティック過ぎて、どん臭いこりんごには、その感性をキャッチするのに時間がかかったが、
タップダンスのパフォーマンスって、ただステップを見せつけて踊るだけじゃないのよ!
もちろん、彼の素晴らしいタップダンスを見たい期待はあるんだけれど、
そこには、緻密なストーリーラインがあって、
もう、ダンスだけじゃなくて、芝居、歌、サウンド、雰囲気作り、
ソロショーなので、全て彼一人でステージの上で作り上げていた。
もう、レストランのミニマムチャージが20ドルだかと、
ティーが10ドルもするとか、
そんな愚痴が吹っ飛ぶくらい、素晴らしいショーを見せてもらった。
バービー人形を持ち出して、童心に戻ったり、
ヒールのついたタップシューズで踊ったり、
ヒップホップで力強く踊ったり、
いろんな一面を見せてくれた、
なんて言うんだろうか、ジェンダーとか、ジェネレーションとかを超えて、
全てはひとつであることを表現しているような、
パフォーマンスの一環に、
彼が、日記を読むシーンがあった。
「2015年8月
I am a gay.
I like men, but didn't mean I don't like women.
I am a gay.
sometime I like to wear hi heels, but didn't mean I want to be a woman,
I just like the feeling.
私はゲイだ。
男の人が好きだが、女の人が嫌いというわけではない。
私はゲイだ。
時々ハイヒールを履くのが好きだけど、女になりたいからじゃない。
その感覚が好きだからだ。
こんな風に、自分の気持ちを綴った日記を朗読し始めた。
彼がゲイであることは、知っていたし、
だからと言って、別に彼への印象や対応が変わるわけでもない、
だから、あんたゲイでしょって、聞く必要もなかったし、
そんなことはどうでもいい。
しかし、パフォーマンスで、 自分がゲイであると告白したことは、
それすらも、パフォーマンスの一環なのかなと、
彼が作り上げた世界の人物がゲイなのかな?
彼自身のことを表現しているのかなと、思いはしたが、
パフォーマンスのタイトルも、
FORGET ABOUT ME
等身大の自分を鏡に映し出している。
何だろうか、彼自身を存分に表現して、
自分のことを誇りに思っている様が伝わって来た。
その日記の朗読は、ただのゲイ告白ではなくて、
一部しかブログでは紹介していないが、
本当に、人間として意味の深い内容だった。
もう一つだけ紹介すれば、
「私は、ブラジルからやって来たゲイ移民だ。
ここに (ビザのために)結婚する相手を見つけに来たわけではない、
タップダンスを踊るためにやって来た。」
このフレーズは、移民のアタシにも響いた。
前述した、国のために違法入国してまで渡航してきたベトナム人の事件のニュースを見たばっかりだったのもあったが、
時々、何のために異国にやって来たのか、
見失ってしまうことが移民だったらあると思う。
ビザに苦しんでいる移民の子たちも知っている。
アメリカに残りたくて、違法滞在、偽装結婚する人たちもいる。
そういう現実が、人種の坩堝ニューヨークではよくあることで、
それを、パフォーマンスで表現した彼、
多分、会場にいた生粋のアメリカ人以上に、移民のアタシには響いたと思う。
彼の日記には、ゲイであることで、神からの罰や禁断の世界を覆す一面もあった。
もう、凄いな、しか言葉がない。
タップダンスのパフォーマンスを見に来たが、
タップダンスというよりは、なんだろうか、
訴えかけるものが多くて、
あぁ、これが本当のパフォーマンスなんだ。
ただ、観客に、自分のステップを見てもらう、
自分の音楽を聴いてもらう、
自分の踊りを楽しんでもらう、
だけじゃ足りないんだよ。
見に来た観客のハートをグッと掴まなくちゃいけないんだ。
発信も同じことだ、
ただ、ブログをツラツラと書いているだけじゃダメで、
ただ、情報だけを提供しているだけでもダメで、
何か、ブログを読んでくれる人に共感を得るような記事でないとダメなんだよ。
何これ、さっきまで、10ドルの紅茶にグチグチ言ってた自分が、別人のように、
本当にありがたいショーを見れた。
Felipeは、このショーを最後に、今年いっぱいまでブラジルに帰ってしまうのだが、
つまり、今年は、NYで彼のレッスンやショーを見れるのは最後。
また来年、パワーアップした彼のレッスンを取ることを楽しみにしている。
アタシも、来年こそは、妊娠して、妊婦でタップレッスン受けたいぞ!
彼のショーを見て、
移民である自分を、もっと受け入れて、
ここで自分が自信をもって すべきことを発信したいと強く思ったよね。
では、今後とも、NYこりんごラジオ、ブログ共に、よろしくお願いします!
本日NYこりんごラジオ、過去放送ピックアップは、
ダイバーシティーを語ってくれた、デーティングアプリ創業者、
敏腕マーケティングディレクターの Kenji Travis Yamazaki さん!
彼自身もゲイであり、ダイバーシティーの話は興味深かった!